健康保険と労災保険
まずはじめに,
健康保険が適用されている間は,労災保険が適用されることはありません。
逆に,労災保険が適用されている間は,健康保険が適用されることはありません。
どちらか一方,または,どちらも適用されない,ということになります。
【健康保険】
さて,
最近になり,交通事故でも健康保険が適用される,
ということについて質問を受けることが少なくなりました。
病院の窓口においても,
以前のようなはねつけるような対応をしなくなっているそうですし,
上からの指導も以前とはニュアンスが異なっていると聞きました。
もっとも,
健康保険証だけで直ちに適用されるかというとそうではなくて,
「第三者の行為による傷病届け(略称:三者届け)」なる手続が必要になります。
この手続に必要な書類は次の通りです。
- 事故報告書
- 事故状況図
- 念書
- 誓約書
- 事故証明書
これらを,健康保険を行うところ(市役所・社会保険事務所・健康保険組合)に提出すれば,
手続完了,交通事故でも健康保険が使えるようになります。
【手続までの治療費は?】
この説明をして返される質問として,
「その手続が終わるまで,治療費は全額負担なの?」というものがあります。
この点,
病院によって対応が異なりますが,
弊社の経験上,最も多いのが次の流れです。
- 手続が完了するまでは全額負担(診療点数の100%負担)
- 手続が完了した段階で,それまでの7割を返戻
- 手続完了後の診療は,診療点数の30%負担
全額負担,の内容には注意してください。
健康保険を適用しない場合,つまり自由診療の場合,
負担は150%〜250%となります。
健康保険を使用する旨を宣言している場合は,100%です。
全額負担といっても,健康保険適用の場合は,50%〜150%も治療費が節約できるわけです。
もっとも,
健康保険が適用される場合には,治療方法の幅が狭くなるので,それによる不利益は覚悟しなくてはなりません。
【健康保険のメリット】
治療費が節約できることがメリットです。
これは,損害総額を低く抑えることができるからで,次の場面で有効です。
- 過失割合が双方にある場合
- 加害者の対人賠償に上限がある場合
理由がよくわからない,とおっしゃる方はお気軽にお問い合せ下さい。
【労災保険】
仕事の最中の交通事故や,通勤途中の交通事故であれば,
健康保険ではなく,労災保険が対象です。
【労災保険のメリット】
メリットは,健康保険の場合と同様に,治療費の節約があげられ,
さらに,次の点もあげられます。
- 健康保険のように30%の負担さえない
- 損害賠償の額に左右されない特別給付金がある
- 労災保険にも後遺障害等級の概念があり,認定が受けられる
- 再発申請が可能
このようなメリットを受けるためには,
労働基準監督署にて,適用を受けるための手続が必要です。
手続の中には,健康保険と同様,「三者届け」手続が含まれます。
【労災保険適用のタイミング】
厚生労働書の通達によれば,
労災保険と加害者の保険(自賠責)のいずれを適用させるかは,
被害者の判断に委ねられる,とされています。
ただ,
実際に手続を行う上では,労働基準監督署からは,自賠責を先行させることを薦められます。
自賠責保険の方が,労災保険よりも補償内容が厚いため,というのが理由のようです。
しかし,
どちらも一長一短ありますし,
一長だけを双方から取り出してしまうことも可能です。
そう考えると,労働基準監督署の説明は,手続を煩雑にさせないための被害者への配慮と,
自らの手間の削減,といったところが本音なのかも知れません。
以上のことについて,
具体的なご質問がありましたら,お気軽に,
お問い合せフォームからお問い合せ下さい。

